ゲーミングPCの最重要パーツといえばグラフィックボードですが、パソコンの頭脳とも呼ばれるCPUに関してもゲームの環境次第ではその重要性が高まる傾向にあります。
今回は初心者の方向けに難しい要素は省略してCPUの重要性と選び方について分かりやすく解説していきます。
CPUの基礎知識
CPUはパソコンの中枢を担う最重要パーツです。
中央処理装置(Central Processing Unit)の略称で別名プロセッサーとも呼びます。
その役割は各デバイス(ハードディスクや周辺機器など)からデータを受け取り、制御や処理を担当します。
ゲーミングPCに限らずパソコンには必ず搭載されており、CPUの性能が高いとゲームはもちろんのこと、マルチタスクも難なくこなすことができるため、パソコン上の動作が快適になります。
ゲーミングPCにおいてCPUが重要な理由はパソコンの動作に直結するためです。
例えばグラフィックボードが高性能であったとしても、CPU性能が低いと足を引っ張る形になり、動作が重くなってしまうなどの弊害が出てくる可能性が高まります。
CPUはパソコンの性能を左右する重要パーツなんだね
CPU性能はリフレッシュレートにも影響がある
高性能なグラフィックボードを搭載しているのにCPUが低いとカクカクした動きになってしまう可能性が出てくるぞ
CPUを選ぶ前に知っておきたいこと
ゲーミングPCを購入する前にCPUについて知っておきたいことを解説します。
選び方に失敗しないためにも、事前に基礎知識として覚えておくと良い内容をまとめています。
CPUの主要なメーカー
CPUにはIntel製とAMD製があり、世界シェアのほぼ全てをこの2社が占めています。
他社が参入する余地がないため、ゲーミングPCでもこの2社製以外のCPUを見る機会はほぼありません。
Steam公式の統計ではユーザーの7割がIntel製、3割がAMDのCPUを搭載したゲーミングPCを使用しているという結果があります。普及率の面から考えるとIntelが優勢ですが、AMD社のCPUは比較的割安であるというメリットもあります。
CPUを選ぶ際にはメーカーにこだわるよりも目的に合った性能やコストパフォーマンスを重視するのがおすすめです。
ただし、AMD社のRyzenシリーズはほとんど内臓GPUが搭載されていないので、注意が必要です。
CPUの見方や性能を調べよう(Intel編)
CPUは型番によって性能が異なります。
何も調べないままゲーミングPCを購入するのは後悔の元なので、しっかりと性能をチェックしましょう。
まずはIntel製の型番の見方を解説します。
今回は「Core i9-12900KF」を例にします。
Core i9-12900KSの「Core」
Core=製品ブランド名です。
読み方はそのまま「コア」と読みます。
Intelから発売されているCPUのブランドには、他にCoreM/Pentium/Celeron/Atomなどがあります。
上記は消費電力や低価格帯向けのCPUですので、ゲーミングPCのCPUは「Core」一択になります。
Core i9-12900KSの「i9」
i9=製品シリーズ名です。
読み方はそのまま「アイ〇〇〇(ナンバー)」と読みます。
2022年現在はi3/i5/i7/i9が存在しており、単純に数字が大きいほど高性能になります。
これからゲーミングPCを購入する場合は、数年先を見越してi7またはi9を選ぶのがオススメです。
Core | i3ローエンド(安価モデル向け) |
Core i5 | ミドルレンジ(中間の性能) |
Core i7 | ミドルハイ(中の上の性能) |
Core i9 | ハイエンド(高性能モデル向け) |
Core i9-12900KSの「12900」
製品シリーズの後ろの数字は「プロセッサー・ナンバー」です。
プロセッサー=CPUの総称なので、プロセッサー・ナンバーは「CPUの型番」を意味します。
プロセッサー・ナンバーは4桁または5桁の数値で構成されており、4桁の場合は頭一桁、5桁は頭二桁が世代を表しています。
1100なら第1世代、2100なら第2世代、上記の12900ならば第12世代となります。
世代が最新(数値が大きい)であればあるほど、高性能であると覚えておきましょう。
製品カテゴリーを確認しよう
IntelのCore iシリーズのCPUには、製品カテゴリーがあります。
製品カテゴリーは末尾のアルファベットで確認することができますが、この種類によってシリーズや世代が同じでも性能に大きな差がある場合があります。こちらも購入前に必ず確認しましょう。
記載無し | 通常版のCPU |
K | オーバークロック対応/通常版より高スペック |
F | 内臓GPU無効/グラフィックボード必須 |
KF | オーバークロック対応/Kより高スペック/内臓GPU無効 |
KS | オーバークロック対応/最高スペック |
T | 超省電力CPU/通常版より低スペック |
オーバークロックを行うことで、CPUの定格周波数を引き上げることができます。
高い処理能力を得られる一方で、消費電力や発熱の増加、安定性を代償にしなければなりません。
また、CPUの寿命が縮まる可能性や保証の対象外などのデメリットがあります。
製品カテゴリー自体は他にもありますが、一般的に目にするのは上記がほとんどです。
基本的に通常版よりも高スペックであれば価格も上昇しますので、用途と予算に合わせて製品カテゴリーを選択しましょう。
CPUの見方や性能を調べよう(AMD編)
続いてはAMD製のCPUについて解説します。
Intel製とほぼ同じですのであまり難しくはありません、今回は「Ryzen 9 5950X」を例にします。
Ryzen 9 5950X の「Ryzen」
Ryzen=製品ブランド名です。
読み方は「ライゼン」と読みます。
RyzenはCoreと比較すると、価格はやや安い傾向があります。
製造コストの削減に力を入れていることが主な要因です。
Ryzen 9 5950X の「9」
9=製品シリーズ名です。
読み方はそのまま「〇〇〇(ナンバー)」と読みます。
RyzenとCoreは業界で競争しているため、製品シリーズは同性能帯で連動しています。
例えば「Ryzen5とCore i5」「Ryzen 9とCore i9」といったようにナンバーが同じであれば、近しい性能です。
Ryzen 3 | ローエンド(安価モデル向け) |
Ryzen 5 | ミドルレンジ(中間の性能) |
Ryzen 7 | ミドルハイ(中の上の性能) |
Ryzen 9 | ハイエンド(高性能モデル向け) |
Ryzen 9 5950X の「5950」
Coreと同じく製品シリーズの後ろの数字は「プロセッサー・ナンバー」です。
こちらも頭の一桁が世代を表しています。
Ryzenの場合は最新世代は7000番台になりますので、ここの数値だけではCoreとの性能比較はできません。
また、Coreとは異なり、一桁目の後ろの数値も重要になります。
「Ryzen 9 5950X」の場合は「950」ですが、ここの数値が高ければ高いほど高性能になります。
製品カテゴリーの見方
Coreと同じくRyzenにも製品カテゴリー(末尾のアルファベット)によって性能が異なります。
こちらも目的に沿ったものを選ぶと良いでしょう。
記載無し | 通常版のCPU |
X | 通常版より高スペック |
G | 内臓GPU搭載 |
T | 省電力のGPU |
WX | Xより高性能 |
型番の見方のまとめ
CPUの型番の見方をここまで解説してきました。
型番は左から順に「ブランド名 / シリーズ名 / 世代(プロセッサー・ナンバー) / カテゴリー」で構成されています。
ある程度理解をしておけば、ゲーミングPCを購入する際に失敗するリスクを減らせるので覚えておくと良いでしょう。
ベンチマークから性能を確認しよう
型番の見方を知ることで、CPU性能をある程度判断できるようになったかもしれません。
しかし、実際に世代や製品カテゴリーの違いによって、どの程度性能に差があるのかは判断が難しいものです。
そこで各CPU性能をベンチマークのスコアから確認しましょう。
ベンチマークとはハードウェアやソフトウェアの性能を測定するための指標のことです。
企業や組織によってベンチマークのスコアを公開しているサイトが多数存在するのでそちらを参照しましょう。
おすすめのベンチマーク確認サイトは以下の2つです。
・PASSMARK
・ドスパラ
PASSMARKは海外サイトなので少々敷居が高いかもしれませんが、データが豊富にあります。
ドスパラは日本の老舗PC専門店ですので、安心と信頼性もあるので、初心者の方はこちらで問題ありません。
CPUで悩んでしまったら、ベンチマークのスコアを判断材料にしよう
具体的なCPUの選び方について
ここまでの解説でCPUに関しては理解できたものの、具体的な選び方が分からないという方も多いかと思います。
そういった場合は以下の選び方を参照してみてください。
ゲームタイトルの推奨スペックから選ぶ
事前にプレイしたいタイトルがある場合は、公式で発表されている推奨スペックを確認しましょう。
どの程度のCPU性能が必要なのかは、ゲームタイトルによって異なります。
ゲーミングPCでゲームをプレイする場合は、各プラットフォームからゲームをダウンロードする必要があります。
各ゲームタイトルのページに、必要な推奨スペックが記載されているのでそちらを確認しましょう。
上記はSteam上でプレイできる「エーペックスレジェンズ」のシステム要件です。
プロセッサーはCPUのことですので、赤枠部分を確認することで必要なCPU性能が分かります。
ベンチマークのデータに照らし合わせるとおおよそのスコアが分かるので、同等以上のCPUを選べば問題ありません。
おすすめはCorei5の12世代より上の性能
ゲームタイトルの推奨スペックを調べるのは面倒、手っ取り早くおすすめを知りたいという方も多いと思います。そういった方にはある程度の性能以上のCPUをおすすめします。
具体的には「Core i5の12世代」または「Ryzen 5の5000番台」より上の性能のCPUです。
Coreであれば12世代、Ryzenであれば5000番台以上のCPUは、その一つ前の世代に比べて優秀な性能です。この辺りのCPUであれば、一般的なゲームプレイであれば必要十分です。
ただし、FPSやTPSゲームなどの対戦ゲームを本格的にプレイしたいという場合は、上記のCPUより性能の高い最新のものを選ぶと後々後悔がありません。
まとめ
ここまでCPUについて解説してきました。
CPUはゲーミングPCに限らず、全てのパソコンにおいて性能を決定付ける根幹のパーツです。
型番の見方を知るだけでもおおよその性能を推測することは可能ですが、ベンチマークのスコアを参照するとより詳細な性能を確認することができます。
ベンチマークのスコアを確認するのが面倒な方、手っ取り早くおすすめを知りたい方は、「Core i5の12世代」または「Ryzen 5の5000番台」より上の性能のCPUからご自身のプレイスタイルに合ったものを選ぶと良いでしょう。